国の研究機関である日本原子力研究開発機構(JAEA)は12日、東京電力福島第1原子力発電所2号機から回収された溶融燃料(デブリ)を大洗原子力工学研究所(茨城県大洗町)に搬入したと発表した。デブリの硬さや成分などを分析し、福島第1原発の廃炉作業に役立てる。

専用容器に入れたデブリが12日午後、JAEAの施設内に運び込まれた。JAEAは電子顕微鏡などを使って分析し、デブリの性質や原子炉内の状況を把握する。硬さが分かれば、取り出し工法や工具の選定に生かせる可能性がある。取り出した後の安全な保管方法を検討する上でもデブリの分析は欠かせない。

東電は10月30日に回収装置でデブリをつかんだ。大きさ5ミリ程度のデブリを格納容器の外に移し、放射線量の測定などを経て11月7日に試験的な取り出しに初めて成功した。

デブリは2011年の原発事故で溶け落ちた核燃料が炉内の構造物と混ざってできた。発生量は1〜3号機でおよそ880トンに上ると推計される。東電は分析で得られた知見を生かし、デブリを大規模に取り出せる方法などを探る方針だ。

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