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 尿を利用し、膵臓(すいぞう)がんなど七つのがんを早期発見できるがん検査キット「マイシグナル・スキャン」を開発した文京区の医療ベンチャー「Craif(クライフ)」。代表取締役CEO(最高経営責任者)の小野瀬隆一さん(33)は「まずは、日本中で使っていただくことを目標にしたい」と力を込める。

小野瀬隆一代表取締役CEO=文京区で

◆AIでステージ1から判定

 検査キットは、「マイクロRNA」と呼ばれる極小分子を尿から検出。人工知能(AI)を活用し、日本人のがん死亡総数の多くを占める大腸、肺、胃、膵臓、食道、乳房、卵巣の七つのがんについて、ステージ1から判定できる。精度は90%前後。同社によると、こうした手法で、がんを判定する検査の実用化は世界初という。  小野瀬さんは、祖父母ががんにかかったことをきっかけに、「がん」の問題に取り組む事業を起こそうと決意。2018年、尿からがんを特定する技術を発見した東京科学大の安井隆雄教授(当時は名古屋大准教授)と出会い、共同創業した。

◆日本発のモデルを輸出

 「膵臓がんは『沈黙の臓器』と言われ、発見されたときは多くがステージ4。いかに早く発見できるかだ」と小野瀬さん。血液によるがん検査が主流の中、尿による検査は「医療界の常識に反するものだった」というが、簡単でかつ痛みのない検査方法にこだわり、2022年に製品化した。  現在は米国での実用化に向けて研究を進めている。「国や自治体、企業などと協力し、日本発のモデルを海外にも輸出していきたい」(竹谷直子) 

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