カワサキモータースは伊藤忠商事と連携して米国などで二輪やオフロード四輪車の販売拡大をめざす

川崎重工業は8日、完全子会社のカワサキモータースが伊藤忠商事と資本業務提携すると発表した。川崎重工がもつ20%の株式を伊藤忠に800億円で売却する。カワサキと伊藤忠は米国に金融サービスを手掛ける共同出資会社も設立し、販売や物流面などで連携する。二輪車やオフロード四輪車などの海外での需要を取り込み事業拡大につなげたい考えだ。

川崎重工が持つカワサキの発行済み株式20%を同社に譲渡した後、カワサキが伊藤忠に同じ株数を割り当てる。川崎重工の出資比率は80%になる。2025年4月1日の株式譲渡完了を見込む。伊藤忠は社外取締役を含めて数人の社員をカワサキに派遣し、経営を支援する。

伊藤忠とカワサキはローンなどの自動車金融サービスを提供する共同出資会社も米カリフォルニア州で設立し、25年4月に営業を始める。両社はそれぞれ子会社を通じて50%ずつ出資する。カワサキは現在、米国では外部企業を経由して金融サービスを提供している。自社グループでサービスを展開することで消費者との接点を増やし、新商品の販売拡大につなげる。

カワサキは二輪車に加えて、バギーなどのオフロード四輪車が強く、農業などの業務用やレジャー用の販売が好調だ。24年3月期の売上高は5924億円で、そのうち米国が56.8%と最大の市場だった。欧州(13.5%)が次いで多い。海外で販売を増やし、31年3月期に売上高で1兆円をめざす。

伊藤忠は豊富なネットワークをもつ中近東や中南米、東アジアなどでもカワサキと相乗効果を発揮したい考えだ。伊藤忠は1960年代以降、二輪車などの輸出業務や欧州での販売代理店業務で川崎重工(現カワサキモータース)と連携していたが、協業が止まっていた。伊藤忠が二輪車メーカーに出資するのは初めて。自動車事業ではいすゞなどと連携している。

川崎重工は売却で得た資金を水素事業の拡大や財務体質の改善に活用する。橋本康彦社長は8日の決算説明会で伊藤忠の出資比率を20%とした理由について「開発から製造の多くの部分は川崎重工で、お互いにとってしっくりくる数字だった」と述べた。「今後状況によって変わる可能性はある」とも加えた。カワサキモータースは21年に川崎重工から分社化した。

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