組織に所属せずに働くフリーランスを保護する新法が1日に施行されたことを受け、新興企業がサービスを拡充している。テックビズ(東京・渋谷)は、トラブルが生じた場合に発注企業に代金を全額返金する。新法に違反した場合に注意喚起する動きもある。労働環境を整えて、市場の拡大を狙う。
ITフリーランス仲介を主力とするテックビズが1日から始めた「FREELANCE+(フリーランスプラス)」は仕事を請け負うフリーランスの品質を保証し、苦情を受け付ける専用窓口を設けた。紹介した人材が持つスキルが企業側のニーズを満たしていなかったり、突然離脱したりした場合に事実関係を調べ、代金を返金する仕組みだ。
保証にかかる費用はサービス価格に転嫁せずに同社が負担する。中島一樹代表は「トラブル発生確率が1割未満であれば採算を確保できる」と話す。まずは既存顧客の約2400社に売り込み、2030年に2万社に広げる計画だ。
600万人以上のフリーランスが登録する大手のクラウドワークスは、同社の専門家が仲介するエージェント事業でフリーランス向けに定期的な面談の機会を設けている。11月以降、面談でフリーランス新法に違反するような行為が報告された場合、発注企業側に個別に連絡して注意喚起する。
人材サービス大手のランサーズは、フリーランス新法に対応するため複数の新機能を追加した。仕事を発注する企業側が、下請法やフリーランス法に沿って取引することを選べるようにした。
フリーランスは即戦力人材を確保する手段として期待される一方で、課題も多い。テックビズが1000社を対象に調査したところ、58%の企業が「フリーランス活用でスキルのミスマッチを経験した」と答えた。最近では上場企業がフリーランスのクリエーターに対して無償で仕事のやり直しをさせた問題が明らかになるなど対策が急務になっている。
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