伊藤忠が出資するブラジル鉄鉱石大手CSNミネラソンの鉱山=伊藤忠商事提供

伊藤忠商事は6日、ブラジル鉄鉱石大手のCSNミネラソン(CM社)の株式を追加で10.74%取得すると発表した。投資額は約44億2000万レアル(約1170億円)で、出資比率を現在の7.15%から約18%に引き上げる。二酸化炭素(CO2)の排出量削減につながる原料「還元鉄」向けに、高品質の鉄鉱石を調達する。

伊藤忠はJFEスチールなどの国内製鉄会社と運営するJBMF社を通じ、CM社へ間接的に7.15%を出資している。今回は伊藤忠が単体で10.74%の株式をCM社の親会社であるブラジル鉄鋼大手CSNから買い取る。

JBMF社によるCM社への出資比率は9.26%で、約8割を保有するCSNに続く第2位の株主だ。伊藤忠が今回10.74%を追加取得することで合計20%とみなされるため、CM社は伊藤忠の持ち分法適用会社になる。

CM社はブラジルの鉄鉱石生産量2位で、2023年度の鉄鉱石販売量は4300万トンと、過去最高だった。伊藤忠がJBMF社を通じてCM社から取り込む純利益は24年3月期が84億円だった。追加出資でさらに増やす。

伊藤忠はJFEスチールなどと組み、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで還元鉄を生産する工場を27年以降に立ち上げる方針で、CM社から鉄鉱石を調達する。還元鉄は天然ガスを使って鉄鉱石から酸素を取り除いた原料。還元鉄を使って電炉で鉄鋼を製造すると、高炉での製鉄と比べてCO2を約半分に減らせる見込みだ。

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