住友電気工業は1日、2025年3月期の連結純利益が前期比微増の1500億円になる見通しだと発表した。従来予想から50億円上方修正し、一転して最終増益を確保する。ワイヤハーネス(組み電線)や電力ケーブルなどの値上げや生産コスト削減が寄与する。最終増益見通しを受け、期末配当を従来予想から5円増額し、年77円配(前期も77円)とする。
一方、売上高は3%増の4兆5500億円と従来予想から500億円下方修正した。電線の主要原料である銅価格の下落に伴う製品価格への影響などを織り込んだ。
同日発表した24年4〜9月期の連結決算は純利益が2.8倍の757億円、売上高は8%増の2兆2477億円だった。国内外で電力ケーブルや電気自動車(EV)用モーターに使う平角巻き線などが伸びたほか、米国ではデータセンター向けに光ファイバーケーブルや通信機器用デバイスが堅調だった。
主力のワイヤハーネスを巡って井上治社長は同日の記者会見で「米国では以前に比べ半導体不足や物流の混乱なども解消され、人件費の高騰に伴う価格転嫁も認めてもらっている」と話した。主要顧客である独フォルクスワーゲン(VW)がドイツ国内で3工場の閉鎖を検討するなど苦境にあり、ワイヤハーネスは期初計画から需要はかなり減っていると懸念を示した。
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