富士通のヴィヴェック・マハジャンCTO(左)とAMDのフィル・グイドエグゼクティブバイスプレジデント(1日、東京都千代田区)

富士通は1日、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)と人工知能(AI)半導体のソフトウエア基盤を2027年までに開発すると発表した。富士通のCPU(中央演算処理装置)とAMDの画像処理半導体(GPU)を使ってAIを開発・運用できるような仕組みを整える。AI半導体の市場で首位にあるエヌビディアを追う。

ソフトウエアのソースコード(設計図)を公開する「オープンソース」で提供する。従来はCPUやGPUなど各半導体の種類やメーカーによって別のソフトウエア基盤を用意する必要があった。富士通のヴィヴェック・マハジャン最高技術責任者(CTO)は「1社で閉じた世界をつくるわけではなく、幅広く使える技術にしていく」と狙いを話した。

富士通は英アームの設計を基に2ナノ(ナノは10億分の1)メートルのCPU「MONAKA(モナカ)」を開発中で、27年に実用化する予定だ。AIやデータセンターなどでの用途を見込み、他社のCPUと比べて電力効率を2倍にする目標を掲げる。

富士通は自社のメインフレーム(大型汎用機)やUNIX(ユニックス)サーバー向けでCPUを開発をしてきた。理化学研究所と共同開発したスーパーコンピューター「富岳」にも富士通製のCPUが搭載されている。

モナカではAIなどの用途開拓に向け、他社との協業を進める。10月には米サーバー大手のスーパー・マイクロ・コンピューターとAI向けサーバーの開発で提携した。

AI半導体のシェア8割を握るエヌビディアは半導体だけではなく、同社のGPUでAIを高速に動かすためのソフト基盤「CUDA(クーダ)」を提供している。多くの開発者がCUDAにあわせてAIのソフトやアプリを作っており、実質上の業界標準になっている。

ただ、生成AIの爆発的な普及などにより、エヌビディアのAI半導体は価格が高騰している。その中で富士通とAMDは「さまざまな選択肢を提供するのが大事」(マハジャンCTO)と認識し、省電力かつ低コストなどで他社との差異化を目指す。

AMDのフィル・グイドエグゼクティブバイスプレジデントは協業により「サステナブルでイノベーティブなものを提供していく」と述べた。

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