記者会見するアイシンの伊藤慎太郎副社長(右)と三菱電機モビリティの加賀邦彦社長(31日、東京都千代田区)

三菱電機とアイシンは31日、電気自動車向け部品開発の共同出資会社の設立の基本合意を解消したと発表した。業界の垣根を越えた電動車部品の新会社として期待されていたが、業務提携へ切り替える。三菱電機で自動車機器事業を手がける三菱電機モビリティの加賀邦彦社長と、アイシンの伊藤慎太郎副社長が記者会見し、製品開発スピードを高める戦略を説明した。主なやりとりは以下の通り。

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――新会社の設立を撤回した理由は。

伊藤氏 「電動化には多様なニーズがあり、メーカーや地域でスピードが異なる。特に顧客の関心の高い次世代イーアクスル『X in 1』を早期に提供するため、業務提携にした方が良いという議論になった。具体的な製品の開発についてスピードを高めることは、両社にも顧客にとっても良い 」

加賀氏 「アイシンとのパートナーシップを用い、三菱電機の電動化技術を拡大していく戦略は変わらない。次世代イーアクスルに対するニーズに、三菱電機の保有する技術で対応することに集中したい」

――新会社の設立は継続して協議する方針だ。設立の時期は。

伊藤 「両社で継続して協議をしていく。まずは2020年代に次世代イーアクスルの開発を完了させることに集中する」

――24年5月の共同出資会社の設立発表時と比べて、イーアクスルのラインアップについて後退したのではないか。

伊藤氏 「後退ではない。次世代イーアクスルについて業務提携することで、新会社で長期にわたってワーっと考えるよりも、具体的な話を進められる。こちらのほうが選択肢として最上だった」

――次世代イーアクスルとの業務提携に切り替えるが、今後の事業規模は。

伊藤氏 「次世代イーアクスルの事業規模はまだ決まっていない」

――三菱電機は新会社で3分の2を出資する予定だった。新会社の設立撤回で、自動車機器事業の戦略が停滞する恐れはないのか。

加賀氏 「24年5月に新会社の設立を発表した時、アイシンとの技術の融合を描いていた。今回、業務提携に切り替わったからといって、技術の融合を諦めたわけではない。顧客に対して速く技術を提供できるチャンスが生まれる。新会社で考えていた目標とは種類の違う取り組みとなる」

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