電炉大手の共英製鋼は30日、2025年3月期の連結純利益が前期比10%減の125億円になる見通しだと発表した。国内では主要顧客の建設会社の間で「2024年問題」による工期遅れが発生するほか、エネルギーなど製造コストや物流コストの上昇を背景に収益が圧迫され3期ぶりの減益となる。

売上高は5%増の3370億円、営業利益は10%減の190億円の見通し。海外鉄鋼事業は北米が建材需要が堅調なことから増益を見込むが、国内の収益悪化を吸収しきれない。

同日発表した24年3月期の連結決算は、純利益が前の期比6%増の138億円だった。原料の鉄スクラップ価格が下がった一方で、主力の棒鋼(異形棒鋼)の製品価格が上昇しスプレッド(価格差)が拡大。製品出荷量も増えたことから収益拡大に弾みがついた。

同日、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表。売上高を3800億円、経常利益を250億円とする目標を掲げた。

3年間の投資計画は約1100億円。このうち約600億円を需要が旺盛な北米に充当する。設備老朽化への対応のほか、M&A(合併・買収)も検討する。

配当性向については従来の25〜30%程度から30〜35%程度に引き上げる。同社のPBR(株価純資産倍率)は解散価値である1倍を下回っている。株主への還元を増やすことで企業価値の向上につなげる。

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