IHIは船舶用エンジンの試験不正について再発防止策を策定した

IHIは30日、子会社の船舶エンジン試験での不正行為について再発防止策を発表した。試運転での計測や記録を自動化するほか、測定値が仕様書通りにならない場合の対応を生産部門任せにしない仕組みなどを盛り込んだ。

IHIは4月、子会社のIHI原動機で船舶などのエンジンの試験に不正があったことを公表した。これまでに約6800台のエンジンで燃料消費率の実測値を書き換えるなどの不適切行為が判明。大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)排出量を計測する試験でも書き換えがあり、NOx規制を逸脱したエンジンは計10台あった。

特別調査委員会が報告書をとりまとめた。不正の原因として閉鎖的で縦割りの組織風土や品質に関するガバナンス(企業統治)が機能しなかった点を挙げた。

再発防止策として、不適切な行為を起こさないための新たな仕組みの導入や、部門間の相互連携、組織風土の見直しなどを方針に掲げた。具体的には出荷前の試運転などで自動計測できる設備を導入し、8月から運用を始めた。燃料消費率で適切な数値を逸脱した場合の確認項目や対応も明確化した。

品質保証などの責任者をほかのIHIグループから配置することで風通しの良い組織風土につなげる。グループ会社の役員層を含めた経営幹部への教育も見直し、ガバナンス体制を強化する。

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