東北電力は2024年10月29日、東日本大震災の際に停止して以来、13年ぶりに女川原発(宮城県石巻市、女川町)2号機の原子炉を起動し、再稼働させた。長期間運転停止していたことから、11月7日にいったん発電を停止し、設備を点検した上で再び起動させ、12月頃から営業運転を開始する。

東日本大震災の発生前、日本には54基の原発があり、日本で使う電力の30%前後を原子力で賄っていた。事故から13年以上が経過した2024年10月時点で地元の同意を得て再稼働した原発は大飯(関西電力)、高浜(関西電力)、美浜(関西電力)、玄海(九州電力)、川内(九州電力)、伊方(四国電力)、女川の7発電所の13基のみ。

これまでは、事故を起こした福島第1原発とはタイプが異なる「加圧水型」を導入している西日本エリアに集中しており、福島第1と同じ「沸騰水型」は、女川が初となった。

東日本大震災以降の原発をめぐる主な動き(時系列をさかのぼる形式)

24年12月(予定) 島根原発(中国電力)2号機が再稼働。福島第1原発と同じ「沸騰水型」としては女川に続く2基目となる

24年10月 女川原発(東北電力)2号機が再稼働。東日本大震災以降、東日本エリアで原発が再稼働するのは初めて

24年10月 原子力規制委員会が、11月に運転開始から50年を迎える高浜原発(関西電力)1号機の今後10年間の保安規定の変更を認可。現行制度で初めて原発の50年超運転を認めた

24年8月22日 東京電力が東日本大震で爆発事故を起こした福島第1原発2号機の核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業に着手したものの、回収装置の取り付け手順にミスがあり中断。9月に再開したが、回収装置のカメラトラブルで再び中断。10月下旬に再再開した

23年9月 運転開始から47年が経過した高浜原発(関西電力)2号機が再稼働

23年8月24日 福島第1原発(東京電力)の敷地内にたまる放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出が始まった

23年7月 運転開始から48年が経過した高浜原発1号機が約12年ぶりに再稼働

23年7月 国際原子力機関(IAEA)が福島第1原発の処理水の海洋放出を「国際的な安全基準に整合的」であるとする包括報告書を公表

23年5月 原発の運転期間を「原則40年、最長60年」と定めた安全規制を大きく転換し、電力の安定供給と脱炭素化を目的に、60年超の長期利用を可能とするGX脱炭素電源法が可決成立

22年6月 島根県の丸山達也知事が、島根原発(中国電力)の再稼働を容認

21年6月 運転開始から44年が経過した美浜原発(関西電力)が約10年ぶりに再稼働。福島第1原発事故後、原則40年とされた運転期間を超える原発が再稼働するのは初めて

21年4月 福井県の杉本達治知事が運転開始から40年を超える美浜原発3号機と高浜原発1・2号機の再稼働に同意表明

21年4月 柏崎刈羽原発(東京電力)のテロ対策に不備があった問題で、原子力規制委員会が、同原発内での核燃料の移動を禁じる是正措置命令を正式決定。再稼働の準備は凍結

21年4月 政府が、福島第1原発の処理水を、希釈した上で、海洋放出する方針を決定

21年3月 柏崎刈羽原発で20年3月以降、外部からの侵入を検知する設備が故障し、十分な代替措置が取られていなかったと原子力規制委員会が発表

21年1月 柏崎刈羽原発で20年9月に中央制御室に入室するIDカードが不正使用されていたことが発覚

20年11月 宮城県の村井嘉浩知事が女川原発(東北電力)の再稼働に同意。福島第1と同じ沸騰水型としては初

18年7月 第5次エネルギー基本計画閣議決定 「2030年度に原発による発電比率を20~22%にする」

18年3月、6月 玄海原発(九州電力)3・4号機再稼働

18年3月、5月 大飯原発(関西電力)3・4号機再稼働

16年8月 伊方原発3号機再稼働

16年1、2月 高浜原発3・4号機再稼働

15年8、10月 川内原発(九州電力)1・2号機再稼働(新基準施行後最初の再稼働、原発ゼロ1年11カ月ぶり解消)

14年4月 第4次エネルギー基本計画閣議決定「原発は重要なベースロード電源」と位置付ける一方で、「再生可能エネルギーの導入などで原発依存度は可能な限り低減」

13年9月 大飯原発3・4号機が定期検査入り、再び原発ゼロ

13年7月 自然災害やテロ攻撃に備える原発の新規制基準施行

12年9月 原子力規制委員会発足

12年7月 大飯原発3・4号機が再稼働(原発ゼロ2カ月ぶり解消)

12年6月 原発の運転期間が原則40年までに延長

12年5月 泊原発(北海道電力)3号機が運転停止、42年ぶりに国内の原発稼働ゼロ

11年3月 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故

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