丸善石油化学(東京・中央)は28日、プラスチックなどの原料となる基礎化学品エチレンで、千葉県にある生産拠点の集約を検討すると発表した。2基あるうち丸善石化が単独で所有する設備を最短で2026年度中に止め、住友化学との共同出資会社で運営する設備へ集約する方向で、集約した設備の製品引き取り枠の変更も検討する。集約により、中国での増産などで低迷している稼働率の向上を目指す。
千葉県はエチレン設備が4基と国内で最も集積している地域で、コスモエネルギーホールディングスの子会社である丸善石化の年間生産能力48万トンの1基と、丸善石化と住友化学が出資する京葉エチレン(東京・中央)の69万トンの設備がある。他には三井化学と出光興産が持ち、27年度に出光の設備を止め、三井化学側に集約する方針をすでに決めている。今後同県では4基から2基になる見込みだ。
今回丸善石化の設備を止め京葉エチレンに集約する方向で検討する。26年度中に止まれば、国内では16年の旭化成の設備停止以来初めてとなる。京葉エチレンは1994年に生産を始め、丸善石油化学が55%、住友化学が45%を出資。現在国内にある12基の中では最大かつ最新の設備で、製品の引き取り比率は丸善石化が40.6%、住友化学が59.4%となっている。
同日、住友化学は引き取り量の削減を丸善石化に申し入れ運営の最適化の検討を始めたと発表した。15年の住友化学のエチレン設備の停止や当時出資していた三井化学の離脱の結果、住友化学の引き取り量が増えていた。住友化学は枠の変更について24年度内をめどに方向性を示し、コア営業利益で数十億円規模の合理化につなげたい考え。
エチレンでは中国の増産影響などで国内設備の低稼働が続き、業界内では3基程度停止するとみる声がある。三井化学・出光の集約に加え、西日本でも旭化成など3社が環境対応や生産体制での連携を視野に入れた検討を進めており、供給過剰を受けて再編の動きが進んでいる。
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