出光興産は28日、電気自動車(EV)の性能を飛躍的に高めると期待される全固体電池の主要材料製造装置の基本設計を始めたと発表した。製油所の不純物として取れる硫黄成分を使って「固体電解質」という材料を年間数百トンつくり、トヨタ自動車の新型車向けに販売する。2027〜28年の実用化を目指す。
量産設備は出光の千葉事業所(千葉県市原市)に建てる計画だ。このほど装置の配置・設計に着手した。事業費は330億円で、うち210億円について政府のグリーンイノベーション基金による補助を受けられる見込み。
出光が手がける固体電解質は全固体電池の正極と負極の間にある粉末で、電池が充放電するのに欠かせない。原油から石油製品をつくる際に発生する硫黄成分を加工し、リチウムを加えることで完成する。
出光によると、固体電解質に適する素材は硫黄成分、酸化物、ポリマーなど。硫黄成分は充電速度や電池の耐久性を高められる特長があるという。出光は21年以降、千葉県内で固体電解質を年間数十トン実証的に生産してきた。
トヨタ自動車は27〜28年に全固体電池を搭載したEVの発売を目指している。出光はこの新型車の電池に材料を供給する。トヨタ以外の自動車メーカーからも要望があれば販売する。全固体電池を載せたEVの流通、それに伴う固体電解質の大規模な量産は30年代になると見込んでいる。
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