連邦地裁は24日、米タペストリーのカプリ買収を差し止める判断を下した=ロイター

【ニューヨーク=弓真名】伊高級ブランド「ヴェルサーチ」などを展開する米カプリ・ホールディングスの株価が急落している。同業の米タペストリーによる合併計画について24日夜(米国時間)に米連邦地方裁判所が差し止めたことをうけ、カプリの株価は25日の米株式市場で一時、前日終値と比べ48%下落した。

両社は23年8月、タペストリーがカプリを約85億ドル(約1兆2900億円)で買収することで合意した。しかし、今年4月には米連邦取引委員会(FTC)がこの買収が反競争的な動きであるとして提訴していた。

この訴訟で、米東部ニューヨーク州の連邦地裁が24日、買収が実現すればブランド間の「直接的な競争が失われる」と述べ、差し止める判断を下した。

カプリは「ヴェルサーチ」など欧米の高級ブランドを傘下に持つ。だが、主要ブランド「マイケル・コース」などの売上高の減少が経営の負担となり、足元の業績も高級品消費の失速がみられるなかで減益・最終赤字が続いている。直近では24年4〜6月期決算で「マイケル・コース」の売上高が前年同期と比べ14%減だった。

カプリの買収をめざすタペストリーは24日の声明で「(買収計画は)競争を促進するとともに消費者本位のものであると確信している」と反論した。控訴する意向を示している。

米投資銀行エバーコアのリポートは「欧州の企業はヴェルサーチのようなブランドを狙っている」と分析している。買収計画が破談となれば、カプリは今後傘下ブランドの売却に踏み切る可能性もある。

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