この中で植田総裁はアメリカ経済について、「最近の雇用統計のデータがそこそこいいという理由で先行きに対して楽観論が少し広がりつつある気がしている。ただ、冷静に考えるとその前は少し暗いデータが出ていたので、もう少しいいデータが長く続くのか、あるいは一時的な振れに過ぎないのか、分析を深めないといけない」と述べました。
また、外国為替市場で今週、一時1ドル=153円台まで円安ドル高が進んだことについては「アメリカ経済に対する見方が楽観的な方に振れている可能性があり、そういう背景のもとで起こっている」と指摘しました。
その上で今後の金融政策の判断について植田総裁は「円安だけではなく、背後にあるアメリカ経済や大統領選挙の動向など全体を見た上で日本の物価にどういう影響を及ぼすのか丹念に分析して見極めていきたい。時間的な余裕はあると思っている」と述べ、利上げは急がず慎重に判断していく考えを改めて示しました。
加藤財務相 “為替の急変動にG20も注意すべき”
G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議に出席した加藤財務大臣は閉幕後、アメリカのワシントンで会見し、外国為替市場で円安が進んでいることを踏まえ、会議では投機的な動きによる為替の急変動に、G20としても注意すべきだと主張したことを明らかにしました。
外国為替市場では今週、およそ3か月ぶりに一時1ドル=153円台まで円安ドル高が進み、ワシントンで日本時間の25日朝まで開かれたG20の会議では、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与える」というこれまでの認識が再確認されました。
会議に出席した加藤財務大臣は閉幕後の会見で、「足元では外国為替市場などの金融市場の変動が引き続き高い状況が続いているため、G20として投機がもたらす為替市場での過度な変動に注意を払う必要があるということを発言した」と述べ、会議の中で為替の急変動に注意すべきだと主張したことを明らかにしました。
また、加藤大臣は24日、アメリカのイエレン財務長官と会談し、ロシアへの制裁やウクライナ支援のほか、外国為替市場についても意見を交わし、為替の動向について日米で緊密に意思疎通を図っていくことで一致しました。
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