東レは半導体関連の素材や装置の開発に力を入れている

東レは23日、光と電気を相互に変換する光半導体をシリコンの基板上に高速で実装する技術を開発したと発表した。データセンターなどで高速かつ消費電力が少ない光通信の需要が高まっている。高速実装できるようにすることで生産効率を上げ、2028年ごろの実用化を目指す。

光半導体は電気信号と光信号を相互に変換するデバイスで、発光ダイオード(LED)などがある。光信号は電気信号よりも消費電力が少なく高速で伝達できるため、データ通信量や消費電力が増えるデータセンターなどでの活用が見込まれている。

今回、光半導体をシリコン基板に接合する過程で使われる材料と、高速で実装する技術を開発した。基板への実装では決められた位置に正確に接合する必要があり、まず板状のガラスに位置に合わせて光半導体を配置し、それを直接基板に接合する。これまではチップ1つずつ実装するやり方で1分間で実装できるのは約4個だったが、ガラスに複数のチップを載せ一度にまとめて接合することで1分あたりで最大6000個実装できるようになるという。

位置に合わせてガラスに光半導体を配置するのにはレーザー転写技術が使われ、子会社の東レエンジニアリング(東京・中央)が手がける「マイクロLED」むけの転写装置を活用する。レーザーで転写することでチップも傷つきにくい。ガラスに塗布する液状の材料も新たに開発し、レーザーをあてた時に転写しやすくしたほか、接合時にかかる熱に耐えられるようにした。

顧客としてはファウンドリー(半導体受託生産会社)を想定し、動作検証などを行い25年までに技術を確立させる。28年ごろの実用化を見込み、30年ごろに100億円規模の売上収益を目指す。今後は光半導体以外の半導体素子への高速実装技術の応用も検討する。

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