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実際に入居者が個室で倒れたときにセンサーがとらえた画像が記録に残されていた

 ロボットやICT(情報通信技術)などの先端技術を、介護や福祉に導入する「ウェルフェア・テクノロジー」を掲げるデンマーク。ある新たなシステムが注目されているという。

 首都コペンハーゲンから小一時間。フレデンスボーにある施設は、主に認知症の高齢者など約30人が暮らす。すべて個室だ。

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Teton.ai社のシステムを導入した施設。入居者の多くは認知症の高齢者だという=2024年9月13日、デンマーク・フレデンスボー、山田史比古撮影

 この施設は7月から、新システムを試験的に導入した。2020年に設立されたベンチャー企業「Teton.ai」社のシステムだ。

 「いま、それぞれが何をしているのか。リアルタイムで見ることができます」

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ベッドで寝ている、部屋にいない、いすに座っているなど、入居者の個室での状況がリアルタイムで表示される

 同社のセシリエ・カウストゥロップさんが、パソコン画面の表示を説明する。

 個室の天井に設置されたセンサーが、常時、室内の様子を把握。床に横たわっている、床に座っている、いすに座っている、ベッドで横になっている、立っているなど、10種類以上のアイコンで入居者の現状を表示する。呼吸時の胸の動きなどから、ただ横になっているのか、睡眠しているのかも見分ける。

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床に横たわっている、ベッドに座っているなどのうち、どのような状況でアラームを発するか、個人ごとに設定できる

 床に横たわっているときなどは、施設のスタッフが持つ機器のアラームが鳴り、スタッフが駆けつける。立っている時間が長い場合にも鳴らすなど、どのような場合にアラームを鳴らすかは人それぞれで設定できる。睡眠時間、トイレに行った回数なども精密に記録する。

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天井に設置したセンサーの機能を説明するTeton.ai社のセシリエ・カウストゥロップさん=2024年9月14日、デンマーク・フレデンスボー、山田史比古撮影

 施設長のビヤギテ・ピーターセンさんによると、導入したことで「介護の質が上がった」という。以前は、夜間には3回、夜勤のスタッフが全個室をまわり、状況を確認していた。いまはその必要がなくなった。ただ、使用は強制ではなく、常にセンサーで把握されることに同意しなかった人の部屋では使っていない。

 デンマークでは従来、緊急事態を把握するために床のセンサーが使用されていたという。ただ、お尻が床についている場合に一律に「倒れている」と判断するなど、「間違いが多かったのです」とカウストゥロップさん。同社のシステムは、体の多くの点の位置関係などに着目しており、さらに人工知能(AI)も搭載して入居者それぞれの身体や動きの特徴などを学ぶこともできるという。

 同社によると、このシステムはデンマークで複数の高齢者向け施設や病院で使われているほか、英国やスイスなどでも使用しているところがあるという。(フレデンスボー=山田史比古)

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