29日の外国為替市場で円相場は、一時1ドル=160円台まで下落し、1990年以来、約34年ぶりの円安水準を更新した。26日に日本銀行が金融政策の現状維持を決めて以降、円は急落している。止まらない円安に対して、市場では政府・日銀による為替介入への警戒感がさらに強まっている。
29日も円安の流れは続き、午前の取引で一時1ドル=160円台をつけた。その後、円が買い戻され、159円台で推移している。日本は29日は祝日だが、海外市場では取引されている。
日銀は26日、金融政策の現状維持を決め、植田和男総裁が会見で、円安が「基調的な物価上昇率に今のところ、大きな影響を与えているわけでない」と発言した。日銀が、円安の影響を理由とした利上げを当面しないとの見方が広がり、円相場は東京市場で156円台に下落。その後、米国で公表された物価指標が堅調だったことを受けて、一気に158円台に突入していた。
円相場は年初、1ドル=140円台だった。市場では、近く160円台まで下落するという見方も出ていた。
一時、1ドル=160円をつけたことで、日本政府・日銀による為替介入への警戒感も強まる。ただ、物価高が続く米国では中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの時期が遅くなるとの見方が広がっている。高金利のドルを買って円を売る動きが続き、為替介入をしてもどこまで効果があるのかは見通せない。
注目されるのが、FRBが30日~5月1日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。物価高が続くことを理由に、利下げの先送りを示唆する発言があれば、さらに円安ドル高が進む見方もある。
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