東京都中野区で2023年に閉館した複合施設「中野サンプラザ」跡地の再開発について、中野区は11日、野村不動産など事業者側から施行認可申請の取り下げがあったと明らかにした。建設費の高騰が理由という。申請後の取り下げは異例。同区は事業者から新たな計画を求めているが、29年度中に予定していた完成は遅れることになる。
同日に開かれた中野区議会の特別委員会で区側が明らかにした。
再開発計画は中野サンプラザと旧中野区役所を解体し、高さ262メートルの超高層ビルなどからなる複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」を建設する。商業施設、住宅、オフィスが入り、総事業費は2639億円を見込んでいた。
同区は特別委員会で再開発のコンセプトは維持したいと説明したが、事業者の再申請の時期や完成までのスケジュールは示さなかった。現計画の一部は見直しが必要となる。区などは解体前の建物の管理費や固定資産税として月2800万円を支出している。事業着手が遅れることで負担は予定より大きくなる。
野村不動産など事業者は7月、東京都に市街地再開発事業の着手に必要な施行認可を申請したが、9月になって物価高騰などを理由に「工事費が900億円超の増額となる見通しで24年度中の着工は困難になった」と伝えていた。工事は清水建設が請け負うことになっている。
区議会の特別委員会の審議で、区議からは「区の負担はできるだけ避けるべきだ」「事業計画が何度も変わっており、本来なら事業者選定からやり直すべきだ」などと厳しい意見が出た。
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