【滋賀】肉やだしなど、いろんなものが自動販売機で売られる時代――。大津市坂本5丁目にある旧竹林院の駐車場に今月、手作り感たっぷりのカラフルな自販機が登場した。販売するのは、手作りした畳のコースターだ。

 地元の坂本観光協会が管理するスペースに自販機を設置したのは、近くの有限会社「上又(うえまた)畳産業」。畳の土台となる畳床(たたみどこ)の製造・販売などをしている。

 同社は、畳業界が衰退の一途をたどっていることに危機感を抱く。少しでも畳に関心を持ってもらおうと、これまで地元の小学校に畳を寄付するなどしてきた。

 今回作ったのが、8センチ四方のコースター。SDGs(持続可能な開発目標)を意識し、廃棄する畳表の切れ端や畳の縁を使った。従業員らが裁断やミシン縫いをした手作りだ。

 自販機も、たばこを販売していたものを再利用した。古びた自販機だったが、廃棄する畳表や畳の縁を両面テープで飾り付けた。カラフルな外観も手作り感たっぷりだ。

 自販機は23日に置かれた。飾り付けは雨ではがれるおそれがあるため、定期的に確認する必要がある。設置に立ち会った上又畳産業3代目の上田高士社長(47)は「はがれたらまた貼ります」と苦笑した。

 自販機では、コースターのほかに、畳の縁(1メートル)も販売する。いずれも200円。旧竹林院は多くの観光客が訪れるが、もうけることが主目的ではない。

 「畳に触れて、思い出してほしい」と上田社長。こうした取り組みが全国に広がって、畳業界が盛り上がってほしい、と願っている。(仲程雄平)

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