宮城県の村井嘉浩知事は5日、東北電力の女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)を視察した。5月に完了した安全対策工事の確認が目的で、新規制基準に対応した新設備や再稼働に向けた進捗状況などについて樋口康二郎社長らから説明を受けた。女川町の須田善明町長と石巻市の斎藤正美市長も同行した。
女川原発2号機は2011年に事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)としては事故後初の再稼働となる公算が大きい。東北電は10月にも原子炉を起動したうえで11月に発電を再開し、年内の営業運転開始を計画している。
視察後の意見交換では、村井知事は「安全を最優先に稼働までや稼働後も気を緩めることなく取り組んでほしい」と求めた。樋口社長は「地域社会との信頼があって事業が成り立っている。工程を意識しつつも、時には立ち止まって進めていく」と応じた。
3首長による視察は20年8月以来。村井知事は視察結果なども参考に同年11月、再稼働への同意を表明していた。
村井知事らは今回の視察では、約2時間かけて発電所内を見て回った。11年の福島第1原発の事故後に策定された新規制基準に伴い、かさ上げされた海抜29メートル、総延長800メートルの防潮堤などを視察。再稼働を控える2号機の原子炉建屋内では、事故時に原子炉格納容器の破損を防いで放射性物質の放出量を大幅に低減する装置などを確認した。
女川原発は11年の東日本大震災では高さ約13メートルの津波や激しい揺れに襲われたが、事前の対策により事故を免れていた。
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