◆「家事労働者が安心して働けるようになるまで闘う」
最高裁への上告期限は3日だった。厚労省は「判決内容を真摯(しんし)に受け止め、所要の手続きを行う」(労働基準局)とし、労災不支給としてきた労働基準監督署の処分を撤回し、補償を支給する考えを示した。取材に応じる(左から)原告男性、指宿昭一弁護士、和光大の竹信三恵子名誉教授(坂本亜由理撮影)
原告の夫(77)は「亡き妻が労働者と認められ、妻の人権を、名誉を回復できた。妻も喜んでいてくれるだろうと思う」と語った。さらに「法が改正され多くの家事労働者が国から保護、補償され安心して働けるようになるまで闘い続ける」と強調した。◆「差別的な労働基準法の改正が不可欠」
女性は2015年5月、訪問介護・家事代行サービス会社のあっせんで、寝たきり高齢者のいる家庭で24時間拘束で1週間泊まり込みで働いた後、急性心筋梗塞で死亡。一審は家事労働者を除外している労基法規定を理由に労災を認めなかった。高裁は女性は家事と介護を一体の業務として会社に雇われていたと判断。会社に雇われ派遣された家事労働者は労基法対象になるとの厚労省通達に照らし、労基法を適用すべきだと判断した。 厚労省は労基法自体の改正も検討しており、原告を支援してきたNPO法人「POSSE」の田所真理子ジェイさんは「低賃金で死ぬまで働かすことができる差別的な労基法の改正が不可欠」と述べた。(池尾伸一) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。