M&A仲介大手のM&A総合研究所が、「悪質な買い手」の排除に向けた対策を9月に導入したことがわかった。買い手との仲介契約の前に財務やコンプライアンスに関わる情報を確認し、把握した内容は売り手にも知らせる仕組みだ。

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 M&A総研の佐上峻作社長が、朝日新聞の取材に応じて明かした。同氏は3月から業界団体、M&A仲介協会の理事も務める。

 同社では9月以降、仲介契約を結ぶ買い手を対象に、信用調査会社の情報などで財務状況やコンプライアンスを評価し、基準に満たなければ取引しないことにした。基準を満たしても評価が低い場合は、財務資料などを取り寄せて審査を重ねる。対象となる買い手は月に100~200社程度だという。

 佐上社長によると、新たな仕組みは3月ごろから考え始め、8月には調査や審査を担うコンプライアンス部も新設した。

 朝日新聞の取材では、2月に倒産したANEW Holdingsが短期間に買収した中小22社のうち、数社分の仲介をM&A総研が手がけていた。一部から抗議を受け、報酬の返金に応じた例もある。

 佐上社長はANEWHD社の案件について「本当に心が痛む」とし、「悪質な買い手がいるのは本当に許せないし、徹底的に排除したい」と述べた。(藤田知也)

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