最先端半導体の量産を目指すラピダスは3日、半導体の組み立てなどを担う「後工程」の研究開発用ラインを北海道千歳市で着工した。2026年に稼働させ、複数の異なる種類の半導体を1つの基板上に集積させて性能を上げる技術の確立を目指す。同日記者会見したラピダスの小池淳義社長は「(実現すれば)電力消費を従来の10分の1に抑えられる」と語った。
ラピダスは自社工場と隣接するセイコーエプソンの液晶工場内に、9000平方メートルのクリーンルームを備える研究開発拠点「ラピダスチップレットソリューションズ(RCS)」を設ける。ラピダスが液晶工場の1フロアを借りた。月内に工事を本格化させ、25年4月に装置の搬入を始める。
経済産業省が後工程の研究開発関連費用の一部、535億円を支援する。ラピダスの総投資額は非公表。
複数の種類の違うチップを効率よく集積させる「チップレット」や、縦方向にチップを積み重ねる「3次元実装」と呼ぶ最新技術を開発する。従来手法と比べ生産効率が高まるほか、人工知能(AI)半導体の時間当たりのデータ転送効率も良くなる見通し。
ラピダスはこれまで米IBMやドイツの大手研究機関フラウンホーファー研究機構、シンガポールの研究機関と組み、半導体の技術を開発してきた。折井靖光・専務進行役員は「これまで海外で進めていた研究を国内に集約できる」と述べ、RCSの完成に期待を寄せた。
後工程の技術開発では部材の大型化や熱処理、電力効率の改善などで素材・装置メーカーとの協力が欠かせない。日本は装置で3割、素材で5割の世界シェアがある。
一方、千歳市で建設が進むラピダスの工場は12月に最先端半導体の量産の鍵となる極端紫外線(EUV)露光装置の搬入を予定する。25年4月に稼働し、27年の量産開始を目指す。小池社長は「1日の遅れもなく量産に向けた準備が進んでいる」とし、顧客については「現在はおよそ40社と交渉を進めている」と説明した。
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