日本総合研究所や環境省などの21社・団体は2日、電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池の再利用促進を目指す協議会を設立した。NTTドコモなどの企業に加えて経済産業省といった関係官庁も参画する。官民で再利用の枠組み検討を進めて金属資源を含んだ中古EVの海外流出などを防ぐ。
新たに設立された「EV電池スマートユース協議会」は日本総合研究所が主催する。中古のEV電池を定置用の蓄電池など他の製品に活用したり、電池をEVで長く使い続けたりする上での規定や技術開発を検討する。日本総研シニアスペシャリストの木通秀樹氏は同日、東京都内で開いた設立発表会で「産官学が連携し、新たな仕組みづくりを通して新市場創出を目指す」と話した。
参画する企業はEV用電池やEVを利用する事業者が中心だ。EV・電池メーカーは現時点では参画していない。NTTドコモは2017年からレンタカー事業者などと組み、カーシェアのサービスを展開している。NTTドコモの佐波武氏は「(事業を展開する中で)EVの調達コストなどの課題に直面していた。協議会を通じて課題解決に取り組みたい」とした。
日本総研の予測によると、EV電池のサーキュラーエコノミー(循環経済)の国内の市場規模は2030年までには6000億円、50年までに8兆円規模にもなるという。足元でEVの需要は鈍化しているが、長期的にはEVは普及が進み生産も回復する見通しを示している。
一方で、国内でEV電池の再利用が拡大するには課題がある。EV普及が現時点では当初想定より遅れていることから、中古EVや電池の処理についての仕組みづくりなども進展していない。また、国内では中古EVの引き合いが弱く、金属資源を含む中古EVが海外に流出しているのも問題視されている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。