ウェブサイトなどの利用者を本来の意思に沿わない選択肢に誘導する「ダークパターン」の被害低減を目指す団体が2日、東京都内で記者会見を開いた。利用規約の同意画面などが消費者に配慮されているかどうか、企業を認定する制度を2025年7月にも始める。国内の年間被害額は最大1兆7000億円規模とみられ、消費者への浸透を図る。
9月27日付で一般社団法人ダークパターン対策協会が設立された。代表理事にはインターネットイニシアティブ(IIJ)ビジネスリスクコンサルティング本部長の小川晋平氏が就いた。11月から法人を対象に年会費5万円で正会員を募集する。中小企業は1万円とする。消費者庁や総務省なども協力する。
25年1月中旬をめどに非ダークパターン認定のガイドラインを公開し、同年7月1日から認定制度を始める。協会に入らなくても制度に申し込める。認定された企業にはウェブサイトに掲出できる改ざん不可能なロゴマークを提供するという。認定企業でダークパターンを見つけた場合、外部から通報できる窓口も設ける。
ウェブサイトを訪れると閲覧履歴などを保存する「クッキー」や個人情報の取り扱いについての同意ボタンが表示されるが、内容を読まずに安易に同意してしまうケースも多い。
予約サイトで「現在○人が見ています」という表示で購入を焦らされたり、サービスの定期購読の解約手続きが複雑だったりする事例もダークパターンに当たる。明らかに法令を違反するような詐欺表示ではないものの、消費者の正しい選択を妨げるグレーゾーンの表示があふれているという。
IIJが主幹する「Webの同意を考えようプロジェクト」によると、消費者の86%がなんらかのダークパターンを経験しているという。うち3割は過去1年間に金銭的被害を受けているとされ、国内の年間被害額は推定で最大約1兆7000億円弱に上る。
龍谷大教授で協会理事のカライスコス・アントニオス氏は「認定制度によって誠実なウェブサイトが増えることを期待している。きちんと対応している企業が消費者から選ばれ、結果として消費者の被害が減っていくことを目指す」と話した。
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