内定式に臨むNECの内定者(1日午前、東京都港区)

国内主要企業が1日、2025年春入社予定の学生らを集めて内定式を開いた。学生優位の「売り手市場」が続き、内定が辞退されるケースが増えている。各社は社長懇談や試食会といった交流の機会を設け、学生のつなぎ留めに努めている。

NECは同日午前に都内の本社で内定式を開催した。午前と午後の2回開催で、内定者約700人のうち約400人が緊張した面持ちで参加した。保護者はオンラインで式典の様子を見守った。

登壇した堀川大介執行役は「挑戦するとわくわくする。日本社会全体を高まるほうに導くのがNECの使命で、今後の未来を一緒につくっていきたい」と内定者に語りかけた。

学研ホールディングス(HD)は「内定者歓迎会」の中で内定者とグループ各社の社長との20分間の交流の時間を設けた。内定者らはオンラインを含め12のグループに分かれ、ざっくばらんに意見交換した。

社長との交流の時間を設けたのは今回が初めて。一般的なイメージの内定式から「内定者自身に自分たちがメインの会だと思ってもらえる内容にする」(採用担当)ために企画した。各社の社長と交流する時間をとることで経営陣らを身近に感じてもらう狙いがある。

キユーピーの内定式には内定者50人が出席した。同社は来年、国内でのマヨネーズの製造・販売で100周年を迎える。これを記念して、午後からは営業部門に配属される内定者17人で15種類のマヨネーズの試食会を実施し、事業理解や企業への定着をねらう。

売り手市場が続いていて、いち早く人材を確保しようと企業の採用活動の前倒し傾向が強まっている。そのため内々定の獲得時期が、早いケースで1年以上前という学生もいる。時間の経過から「入社への不安を抱える学生が一定数いる」(都内の私大キャリアセンター)。

就職情報サービスの学情が8〜9月に実施した調査では9割が内定先の社員や他の内定者と実際に話す機会があるとミスマッチ解消につながり、内定承諾の判断にプラスになると回答していた。内定式をきっかけに研修や社員交流を活発に実施することが、若手人材の確保に欠かせない。

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