東京大学や清水建設などは30日、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量が実質マイナスとなる再生コンクリートを製造する技術を開発したと発表した。製造時にCO2を多く出すセメントの代わりにビル解体などで発生したコンクリート廃材を原料にする。2025年国際博覧会(大阪・関西万博)向けに建物模型の展示物を製作する。
コンクリートは一般的に製造時に大量のCO2が出る。CO2の排出を削減しようと廃材の活用が検討されているものの、管理の手間が増えたり、品質が低下したりする問題があった。東大などはコンクリート廃材を粉末状に砕き、品質を保ちながら空気中のCO2と効率よく反応させる手法を開発した。
ブロック状に固めて鋼材と組み合わせた柱ユニットを試作、清水建設や東京理科大学が構造試験を実施したところ、一定の強度を保つことができることを確認した。柱や壁などの構造を工夫すれば、「3〜4階規模の建物に対応できる」と清水建設の中沢春生主査は話す。
廃材の中間処理を手掛ける増尾リサイクル(東京・荒川)と24年度中に、重機を使ってコンクリート廃材の粉末とCO2を大量に反応させる仕組みを構築する。実際の建物の建設も見据え、27年度末に再生コンクリートの材料を月間60トン生産し、年間36トンのCO2を回収する体制を目指す。
東京大学大学院の野口貴文教授は「他の材料を必要とすることなく、サーキュラー(循環型)なコンクリートを作れる」と述べた。従来の建物向けのコンクリート部材とは構造が異なり、調達や量産にはまだ課題もある。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて20年から研究を進めてきた。
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