京都大学発スタートアップのラジオナノセラピューティクス(京都市)は30日、ベンチャーキャピタル(VC)などから計4億5000万円を調達したと発表した。がんの放射線治療の一種「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の薬剤開発に投資する。体内の奥深くにできたがんの治療につながる薬剤を2031年をメドに実用化する目標だ。
BNCTは患者のがん細胞にホウ素薬剤を送り込み、そこに放射線の一種の中性子線を照射することでがん細胞を破壊する治療法だ。次世代のがん治療法として広がりつつある。ラジオナノは多くのホウ素をがん細胞内に送り込むことで効果的な治療を目指す。
ラジオナノは京都大学大学院人間・環境学研究科の小松直樹教授の研究成果を生かして今年4月に設立された。ポリマーなどの技術で多くのホウ素を含んだ薬剤をがん細胞に送り込む。治療時間を短くしたり、BNCTでは難しかった体内の奥深くにできたがんの治療が可能になったりするという。
今回調達した資金を生かして臨床試験(治験)に使う薬剤を開発する。まず27年に臨床試験を始め、31年ごろに実用化したい考えだ。京大傘下VCの京都大学イノベーションキャピタル(京都市)や三菱UFJキャピタルなどがラジオナノの第三者割当増資を引き受けた。
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