人材サービス会社でつくる全国求人情報協会(全求協、東京・千代田)が27日発表した8月の求人広告件数(週平均、職種別)は、前年同月比3.7%増の196万3882件だった。人手不足が続く中、2024年春は伸び率が20%を超えていたが、一服感が出ている。
同協会が加盟各社のネット媒体の求人広告件数を集計した。23年10月分を最後に一時休止していたが、8月から集計対象を変えて再開した。今回の方法で集計した24年4月の伸び率は26.7%だった。その後は新型コロナウイルス禍後の急速な求人の回復がおさまり、増加ペースが減速した。
職種別で増加率が大きかった技術者・研究者が33.2%増の8万7642件だった。IT技術者も30.8%増の19万3402件だ。減少率が高かったのは理美容で29.2%減の7044件、工場作業員など「生産工程」が24.2%減の11万6371件だった。専門知識の必要な技術職の不足が鮮明だ。
エン・ジャパンの求人情報サイト「エン派遣」の小用秀明サービス責任者は、製造現場などで「物価高騰による買い控えで生産品の余剰が発生。車・家電系を中心に生産調整を余儀なくされている影響が出ている」と話す。
雇用形態別では正社員が6.4%増の112万3508件、アルバイト・パートが0.7%増の74万1696件だ。ディップの井上剛恒執行役員は「経済回復の中、長い目で人材を確保しようと正社員の採用を再開したり、注力したりしている企業が増えているのではないか」とみる。
同協会は求人広告のデータをもとに平均賃金の集計も始めた。4~6月の正社員の平均月給は前年同期比1.6%減の24万556円だった。金融・法務専門職などが上昇したが、生産工程が10.6%減の22万9232円となったことなどが影響している。アルバイト・パートの平均時給は3.7%増の1225円だった。
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