自民党総裁選で高市早苗経済安全保障相が、日本の財政状況について、「債務単独でみると非常に厳しいが、資産を合わせたネットで見ると、主要7カ国(G7)の中でも上から2番目と良好だ」と主張している。それについて、鈴木俊一財務相が24日の閣議後会見で「日本の財政状況を判断するには、適切ではない」と釘を刺した。
財務省によると、国内総生産(GDP)に対する日本の債務残高は257.2%にのぼり、G7だけでなく世界でも最悪の水準だ。それに対し、高市氏が主張するのは、国や地方が保有する「資産」も勘案すれば、G7で2番目によいという。
しかし、鈴木氏は「ネットの資産残高で財政の健全性をはかる際には、所有する資産を債務の返済に活用できるかどうか。すなわち資産の市場性、流動性を考慮する必要がある」と指摘。高市氏がいう資産には、道路やダムなど市場で売却できないものが多く含まれているとして、「道路やダムなどを考慮しない、日本の純債務残高(対GDP比)は、世界最悪の水準になっている」と述べた。
高市氏は総裁選を通じて「戦略的な財政出動」を掲げ、財政出動で成長力が高まれば、税収が増えるとし、財政健全化の必要性には消極的な立場を示している。(岡林佐和)
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