ニコンは24日、風力発電機の羽根に「サメ肌」状のフィルムを取り付けて、発電効率を高める実証実験を始めたと発表した。摩擦抵抗を抑える効果があり、同じ風力でも回す力が高まる。風力発電の拡大を商機と見て参入する。
風力発電大手のユーラスエナジーホールディングス(東京・港)が北海道稚内市に持つ風車の羽根にフィルムを取り付ける。フィルムがある場合と無い場合の発電量を1年間かけて比べる。サメ肌形状のフィルムで発電効率を高める実証実験は国内初。
小型風車を使った試験では、発電効率が約3%改善した。ユーラスエナジーホールディングスが稚内市に持つ57基の風車全てに装着すると、約1710世帯の年間電気使用量に当たる発電量を増やせる。
ニコンが開発したフィルムの表面には「リブレット」と呼ばれる微細な溝の加工が施されている。空気と羽根が接触する際に生じる「渦」がもたらす摩擦抵抗を和らげる効果がある。自然界の生物が持つ機能を応用した技術である「生物模倣」の一つだ。
ニコンはリブレットの加工技術を航空機にも生かす。日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)と、航空機の燃費向上や二酸化炭素(CO2)削減に向け取り組んでいる。
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