総排気量が50cc以下の原付きバイクは燃費の良さなどから長年、生活の足として親しまれてきましたが、市場の縮小に加えて、2025年11月以降は排ガス規制が強化されることから、ホンダとスズキは国内生産を終える方向で検討しています。

一方、両社は原付きバイクに代わる製品としてモーターで走行する電動バイクの開発や販売を強化しています。

このうち、原付きバイク市場でおよそ5割のシェアを占めるホンダは、1度の充電で53キロ走行できる電動バイクを2023年夏に発売するなどこれまでに4車種を投入しているほか、2025年春をメドに2車種を他社にも供給します。

今後も車種を増やして、販売を強化していく方針です。

また、スズキは原付き免許で運転できる「電動モペット」と呼ばれるモーターとペダルがついた二輪車の開発を進めていて、2024年以降の発売を目指しています。

1度の充電で電動バイクとして20キロ走行できるうえ、ペダルをこげば、走行距離をさらに伸ばすことができます。

開発責任者の福井大介チーフエンジニアは「人の力を加えることで航続距離を伸ばそうという考えで取り組んでいて、できるだけ早くお客さんに届けたい」と話しています。

原付バイクの現状は

総排気量が50cc以下の原付きバイクは、原付き免許や普通自動車免許で運転することができ、燃費も良いことから通勤や通学、近場の買い物など生活の足として幅広く使われてきました。

1958年にホンダがスーパーカブを販売したことをきっかけに広く普及し、1982年のピークには年間で278万台が出荷されました。

しかし、免許取得者の減少に見られるように若者を中心にバイク離れが進んだことや、原付きバイクに比べて価格が安く免許も必要ない電動アシスト自転車にシェアを奪われたことなどから市場が縮小し、2023年は9万2000台あまりと、ピークの3%ほどまで減少しています。

現在、国内での生産は、ホンダとスズキのみになっていて、ヤマハ発動機は2018年からホンダから供給を受けています。

一方、今でも全国で430万台余りの原付きバイクが保有されていることから、各社は一定のニーズがあるとみて、原付き免許で運転できる電動バイクの開発や販売に力を入れています。

ただ、電動バイクは現状では、原付きバイクと比べて、価格が高いことや、1回の充電で走行できる距離が短いことなどが普及に向けた課題となっています。

このため、オートバイを製造するホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業の4社は、2021年にコスト削減に向けて電池の規格を統一し、交換式とすることで合意したほか、2022年には石油元売り大手と提携し、東京や大阪などのガソリンスタンドで電動バイクの電池を交換できる拠点の整備を進めています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。