「酵素の組み合わせによっては香りや食感が変わってしまうため、何度も試作しました」と話す味の素の竹沢拓也さん

 「白いご飯が好きな人にこそ届けたい」。味の素が2024年3月に発売した「白米どうぞ」が好評だ。商品企画を担当する味の素の竹沢拓也(たけざわ・たくや)さんに開発の狙いを聞いた。(共同通信=増井杏菜記者)

 粉末状で米に混ぜて炊くだけで、糖の吸収が穏やかなご飯が炊きあがるのが特徴だ。販売数量は発売から3カ月で目標の約2倍で推移している。参考価格は7合分の小分け袋入りで990円(2024年8月時点)。

 同社では白米のでんぷんの構造を、酵素の働きによって変えることで、食感を維持したり、おいしくしたりする技術を追求。外食やコンビニエンスストアの弁当向けなど業務用として提供してきた。「これを応用して健康価値も加えたいと考え、技術開発に7年かけて製品化しました」

 糖質の消化吸収のされやすさを示す指標GI値に着目。GI値が低い食品は、食後血糖値の上昇がゆっくりで食生活改善の手助けになるとされている。糖質は三大栄養素の一つだ。「過度な糖質カットやオフではない製品を目指しました」。複数の酵素を組み合わせることで、糖が分解されにくい構造に。酵素の種類や配合量など試行錯誤し「香りや食感、味わいはそのままに、GI値を玄米程度に低くしました」

 使い方は米をといだ後に粉末を入れ、通常通りの水量で炊くだけ。顧客から「手軽で味が変わらない」「白米を食べられてうれしい」という声があがる。「糖質が気になる人に使ってほしいです」。竹沢さんは大阪市出身の36歳。

味の素の「白米どうぞ」

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