記者会見する荒井邦彦代表理事(左から3人目、19日、東京都千代田区)

M&A(合併・買収)仲介会社などでつくる一般社団法人、M&A仲介協会(東京・千代田)は19日、企業買収の契約書において売り手企業の経営者の連帯保証の解除を買い手に義務付けると発表した。業界のルールとして2025年1月から導入する。売り手が不当な被害を受けるリスクを防ぎ、中小事業者が安心してM&Aに取り組める環境づくりにつなげる。

中小企業の経営者は会社や事業の連帯保証人になっているケースが多い。ただ、事業承継を名目とする悪質な買い手が買収後に連帯保証を解除しなかったり、現金などの資産を抜き取って失踪したりするなどの問題が起きている。

協会の代表理事を務めるストライクの荒井邦彦社長が19日、都内で開いた記者会見で施策を発表した。買収後に売り手の経営者の連帯保証を解除するよう買い手に義務付ける条文を、M&Aの最終契約書に盛り込ませる。

契約通りに解除されない場合、同協会は調査を通じて悪質な買い手を「特定事業者リスト」に登録するほか、こうした業者と取引しないよう加盟社に呼びかける。仲介業者に対しては、買い手の資質や売り手が不当な被害を受けるリスクを調べた上で仲介することも求めた。

協会のガバナンス(統治)の強化に向け、25年1月から名称を「M&A支援機関協会」に変更することも発表した。会員企業を、地方銀行や中小企業団体などM&Aを支援する機関にも広げる。

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