JR北海道は、北海道室蘭市の室蘭駅を10月1日から無人化すると発表した。鉄道の国有化前から設置され、現在地付近の初代駅舎の開業から130年近くたつ歴史ある駅で、今も特急列車が1日5往復発着するが、利用客の減少で無人化が決まった。

 JR北によると、室蘭駅の1日平均乗車人数は、1987年に旧国鉄からJR北に移行した時点では1100人を誇っていた。2023年度は521人で、19年度の631人と比べ、110人減っていた。同社によると無人化する際の基準などはないといい、「利用状況などを総合的に判断した結果」と説明する。

 室蘭駅では現在、土日・祝日を含め、JR北のグループ会社の社員3人が交代で、午前7時20分から午後5時半まで勤務している。10月以降は、オペレーターと話しながら操作できる「話せる券売機」などで利用客に不便を感じさせないよう努めるという。

 同市の主要駅は室蘭駅から約7キロ離れた東室蘭駅。10月以降は市内7駅のうち東室蘭駅を除いて無人駅となる。

 同市史によると、室蘭駅は1897(明治30)年、室蘭線の支線にあたる東室蘭―室蘭間の開通に合わせて開業。9年後の国有化直後に、製鉄、製鋼の大手企業が相次いで操業を始め、鉄のまち室蘭の礎を築いた。道内産の石炭の積み出しでも大きな役割を果たした。

 現駅舎は市民から建物デザインのアイデアを公募し、1997年10月に開業した。近くに現存する旧駅舎は、道内最古の木造駅舎として国の登録有形文化財の指定を受けている。(松本英仁)

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