SAFを受け入れるENEOSの鹿島製油所(茨城県神栖市)

ENEOSは二酸化炭素(CO2)の排出量を減らしたとみなせる「環境価値」を売り始めたと発表した。再生航空燃料(SAF)を使うことで生じるCO2削減分を運送会社などに売り込む。これまでは全て航空会社に売っていたが、削減分を切り出してENEOSが直接扱えるようにした。CO2の排出量を減らしたい企業の需要を取り込み、SAFの裾野を広げる。

国内の石油元売りとしてSAFに由来する環境価値を売るのは初めてとしている。取引単位は「CO2の排出を1トン分減らしたとみなせる価値」で、価格は個別交渉によるため、非開示。ただ、一般的なカーボンクレジットよりは高くなる。

これまでSAFの利用に伴う環境価値は基本的に航空会社に帰属し、航空会社が荷主や運送会社に販売していた。ENEOSは英シェルが開発したSAFの環境価値をやりとりするプラットフォーム「アヴェリア」を使い、価値の一部を直接取り扱えるようにした。

環境価値の販売を航空会社だけに任せるのではなく、ENEOSとしても営業することがSAFの広がりにつながると判断した。石油製品の顧客網も生かす。SAFの価格は既存のジェット燃料に比べて現状では2〜3倍高く、普及に向けて買い手を増やす。

購入企業にとっては単なる排出量の相殺ではなく、自社製品の輸送網の一部に組み込むなど企業活動のなかで削減しやすい点が利点となる。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。