住友大阪セメントは18日、従来品と比較して二酸化炭素(CO2)の排出量を約58%削減する舗装工法を開発したと発表した。セメント工場から排出されたCO2を反応させてつくった「人工石灰石」を活用する。年間50万立方メートル規模の施工を目指すとしている。実現すれば年間2000トン以上のCO2排出削減効果が得られるという。
交差点やバスターミナルなど路面が傷みやすい場所で使われる「半たわみ性舗装」について新しい工法を開発した。半たわみ性舗装はアスファルトの隙間にセメントを水で溶いた「セメントミルク」を浸透させてつくる。
セメントミルク材に人工石灰石などを混合した。製造時にCO2を大量排出する、従来の材料の利用を3割減らした。さらに道路などへ施工した後も大気中のCO2を吸収できる。セメントの配合や粒子の大きさなどを工夫して舗装内部にCO2が入り込みやすい隙間を作り、効率的に吸収できるようにした。
製造から廃棄までのCO2排出量は従来比で約58%削減の効果が出る見込みだ。年間に施工される半たわみ性舗装が今回の舗装に置き換わると、年間2000トン以上のCO2排出削減や130トン以上の炭素除去効果となる計算だ。要求される性能も従来品と同等であることを確認した。
同社はセメント原料の石灰石を人工的に製造する取り組みを進めている。建物を壊したときの廃棄物などからカルシウム分を取り出し、工場から排出されたCO2と反応させ鉱物化する。CO2を排出せずに再資源化が期待できる。
18日に記者会見を開いて新しい工法について説明した。登壇した住友大阪セメントの小堺規行常務執行役員は「(脱炭素の実現には)たくさんの手段を持つことが非常に重要だ」と話した。新たに開発した舗装のコストに関しては「人工石灰石を使っても従来品とほとんど変わらない」と説明した。
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