美容師向けのスポットワークを仲介するプロダクツ(東京・港)は年内にも大阪府や愛知県など主要都市にサービスを拡大する。美容師など資格が必要な職種で現場への復帰を支援し、人手不足の改善に取り組む。
プロダクツは2024年3月に美容師のスポットワークを仲介する「スポジョブ」を正式に始めた。美容室は全国に約27万店舗と年々増加している一方、美容師の離職率が高く集客よりも人手不足に悩む店舗が多いという。
プロダクツは美容師免許を持っているにもかかわらず美容師として就労していない「休眠美容師」が81万人いると試算する。同社は「離職率が高い業界であるのに加えて技術やトレンドの変化もあり、復帰のハードルが高い」とする。
登録者数は非公開だが、1都3県で1300カ所の美容室などにサービスを提供している。一度離職した人が復帰する際に使うケースなどが多い。利用者が働きやすいように実際の求人に掲載されている時間よりも短い時間での就労を希望する「早上がり機能」を設けている。
資格の登録だけでなく、接客やカラー剤の塗布、シャンプーなど作業ごとに登録者を評価する形でマッチングの質を担保し、登録者を限定して求人を出せるようにしている。
全国展開を見据え、年内にもサービスの提供地域を大阪府や愛知県など主要都市にも広げる。スポットワークの仲介を通じた美容師への復帰だけでなくキャリア形成も支援していく。
専門職の働き方も多様になってきた。数時間単位から働けるスポットワークのほか、アルムナイ(卒業生)採用も広がっている。
介護業界ではニチイ学館がアルムナイ採用としてカムバック制度を設けている。これまでも退職者が戻ってくるケースが介護職全体の1割を占めていたが、改めて会社として発信し、退職者にカムバックレターを渡して再入社制度の認知を高めたり、再入社した人がスムーズに働けるように研修制度を整えたりしている。
退職者を現従業員に紹介してもらうリファラルとアルムナイを組み合わせた形の採用も行う。リファラル採用では退職者を紹介する場合は退職から3年以上としていたが、24年から1年以上に短縮した。退職から3年未満で再入社するケースも一定数あったためだ。
ニチイ学館が提供している講座の受講者や退職者、内定辞退者などを含めた人材プール約2万人を一元で管理し、イベントや採用の情報などを戦略的に発信できるようにしている。
人財開発事業部の千石友明シニアエキスパートは「職場環境の改善に対する取り組みや、積極的なアルムナイの受け入れも含め、自社の魅力を発信していきたい」と話す。
転職やライフイベントなどで一度仕事から離れた場合、専門職では知識や技術の更新が必要になるとハードルを感じる人も少なくない。企業や仲介業者は経験者が復帰しやすいように制度の拡充や支援を広げている。
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