国の「福島再生加速化交付金」を原資に福島県などが設置している基金を巡り、すでに完了した復興事業の残額約21億円が使用見込みのないまま基金に保有されているとして、会計検査院は12日、交付金制度を所管する復興庁など5省庁に改善を求めた。

◆事業が完了しても使用見込みないまま

 復興庁の他に要求を受けたのは、いずれも基金による復興事業を所管する文部科学、厚生労働、農林水産、国土交通省。  福島再生加速化交付金は、福島県の復興加速化のため、復興事業を実施する自治体に国が交付金を出す制度。このうち「帰還・移住等環境整備」など事業期間が複数年にわたるものは基金型とされ、事業費は同県などが交付金をもとに設置した「加速化交付金基金」から取り崩してきた。  会計検査院の検査によると、基金保有額は806億9633万円(2022年度末現在)。このうち「事業完了から1年以上経過し、流用できる他事業もない」など、使用見込みのないまま積まれた金額が21億145万円(同県内の5市町村で実施する60事業)あった。  同院は、基金残額の国庫返還や基金保有額の確認の必要性について、事業の所管省や自治体が十分に理解していないと指摘。5省庁に対し、各自治体への返還手続きの指示や周知徹底などを求めた。(高田みのり) 

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