新型コロナウイルス感染症の対応が平時に近い体制に移行して1年余りが過ぎた。第11回日経・FT感染症会議(主催・日本経済新聞社、共催・英フィナンシャル・タイムズ)は10月22〜23日にホテルニューオータニ(東京・千代田)で開かれる。危機に強い社会をどうつくるのか。「人材育成」「資源の戦略的投入」「イノベーション」「リスクコミュニケーション」を4つの柱として議論する。
(1)「疾病X」への備えは大丈夫か パンデミックの間隔短く
新型コロナに続く次なるパンデミック(世界的大流行)を引き起こす感染症は「ニパウイルス」が進化した病原体になる可能性が高い。世界の新興感染症の動向に詳しい東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は「疾病X」の最有力候補に「新型ニパ」をあげる。…記事を読む
(2)「流行時期の予測は困難」 25年、伝染性紅斑も注意
2024年は手足口病が5年ぶりに大流行した。コロナ禍以前は奇数年に流行を繰り返す傾向にあったが、21年以降は流行がみられなかった。他にも24年はマイコプラズマ肺炎や急性出血性結膜炎も久しぶりに大流行した。…記事を読む
(3)日本の研究開発に期待の芽 変化に対応、準備着々と
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)では国内でのワクチン開発が滞った。この反省を生かし、2022年に先進的研究開発戦略センター(SCARDA、スカーダ)が発足した。今後パンデミックが起きた際に短期間でワクチンを開発できる体制をつくることを目指し、平時から戦略的に研究費を支援する。浜口道成センター長にこれまでの成果と今後の課題を聞いた。…記事を読む
(4)感染対策は「脱コロナ」へ ワクチンの生産能力を転換
新型コロナウイルスの感染収束により、世界の製薬企業がワクチン戦略を転換している。コロナワクチンの需要が縮小する中、米ファイザーやモデルナは呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症ワクチン向けに生産を振り向ける。…記事を読む
(5)エイズウイルスの予防に光 診断、治療と合わせ疾病管理
いまだ年間100万人以上が感染し、数十万人の死者を出す「エイズウイルス(HIV)」。長時間作用型の抗ウイルス薬を投与することで感染を防ぐ成果が報告され、予防のあり方が大きく変わりつつある。過去数十年にわたって失敗を繰り返した予防ワクチンの開発にも光が差し始めた。…記事を読む
(6)正確で素早いデータ必要 コロナ後の監視体制の強化を
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は推定で少なくとも2000万人の命を奪い、全世界で20兆ドル(約2900兆円)を超える損害を生じさせ、ほぼすべての国・地域で疾病追跡の弱点を露呈させた。だが、我々は今でも健康上の深刻な脅威に対して暗中模索の状況にあり、これに備える準備や自らを守る方策も整っていない。…記事を読む
(7)感染症専門医の不足深刻 人材育成、世界全体の課題に
米ノースウエスタン大学ファインバーグ医学部小児科の教授で、感染症が専門のティナ・タン医師は、同医学部系の子供病院でも勤務している。病院には米国でも有数の権威と資金力がある。それでもタン医師の感染症治療チームは、研修プログラムに応募してくる若くて優秀な医師を確保するのに苦労している。…記事を読む
(8)パンデミック条約、交渉難航 関心低くなれば自然が逆襲
新型コロナウイルスに関する緊急事態の終了が昨年宣言されて以降、米国では家畜の鳥インフルエンザへの感染が過去最悪レベルで広がっている。また世界保健機関(WHO)は8月、アフリカ中部で急速に感染が拡大しているエムポックス(サル痘)について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。…記事を読む
(9)「リスコミは双方向の対話」 国民の声を広く聴く体制を
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はリスクコミュニケーションの必要性を改めて認識させた。平時にできないことは有事にもできない。平時から公的機関などが一方向ではなく、国民の声を広く聴き、双方向で対話する体制づくりが必要である。…記事を読む
(10)平時からの備えを継続的に 喉元過ぎても熱さ忘れず
「次の感染症危機への対応に万全を期した」。新藤義孝・感染症危機管理担当相は7月2日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて改定した政府行動計画に胸を張った。…記事を読む
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