タルクを原料に含む化粧品を使った消費者からの訴訟が相次いだ(プレスパースの米国本社)

住友商事は10日、化粧品原料を販売する米子会社、プレスパースコーポレーションが日本の民事再生法にあたる米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請したと発表した。2024年3月時点での負債総額は5920万ドル(約83億円)。同社が販売するタルク(滑石)を原料に含む化粧品を使用した消費者から訴訟が相次ぎ、関連費用が膨らみ、事業継続が困難になったため。プレスパースは原料の安全性の問題について認めていない。

プレスパースは化粧品原料の販売を手掛け、エスティ・ローダーやロレアル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などの大手化粧品メーカーを主要顧客とする。商品の競争力は維持できているものの、数百件に上る訴訟にかかる弁護士費用や和解金の積み立てが生じ、24年3月期の最終損益は4057万ドルの赤字(前期は317万ドルの黒字)だった。

住友商事は24年3月期の連結決算で、訴訟関連費用約50億円を計上している。23年3月期中にプレスパースの株式評価額を0円にする評価の見直しも実行済のため、25年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微としている。住友商事は化粧品事業を強化する目的で07年にプレスパースに2割出資し、10年に完全子会社化した。

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