スマホカメラの撮影画像と超音波画像をアプリ上で同一画面に表示し、使い勝手を高めた(5日、川崎市)

キヤノン子会社の医療機器メーカー、キヤノンメディカルシステムズは6日、手持ちサイズの超音波診断装置の新製品の国内受注を10月から始めると発表した。医療従事者向けで、スマートフォンと連携してワイヤレスで利用する。在宅医療や離島での検査需要を取り込む。

製品名は「アプリオエアー」。スマホやタブレットなどの端末に専用アプリをダウンロードし、ワイヤレスで接続した装置を患者の体にあてて診断する。装置の上部の形状は平らにし、下部は丸みを持たせた。どちらからも超音波が出る。例えば、血管や甲状腺などは上部を、腹部などは下部を当てるなどして使い分けられる。

スマホカメラの撮影画像と超音波画像をアプリ上で同一画面に表示し、どの位置から撮影したかものかを後から確認できる。ぼうこう内にどれだけ尿がたまっているかを自動で計測する機能など、診断の質を高める機能も搭載した。

重さは約200グラムと軽量で、約70分駆動可能なバッテリーを備える。価格は85万円(税抜き)。

据え置き型装置を開発してきた同社が持ち運べる無線型を手掛けるのは初めて。在宅医療や離島ではサイズの大きい据え置き型の装置を持ち運んで使うのは難しく、手軽な診断装置の需要が高まっている。

同分野では米GEヘルスケアや富士フイルムが先行して競合製品を展開する。キヤノンメディカルの佐野昭洋常務は「他社メーカーの製品を研究し、画質などの完成度を高めた。まずは世界で1万台の販売を目指す」と話した。

【関連記事】

  • ・キヤノンの移動病院、海を越える 富士フイルムはインドで
  • ・オリンパス、超音波診断装置を発売 キヤノン系が開発

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。