伊藤園が2日発表した2024年5〜7月期の連結決算は、純利益が前年同期比35%減の44億円だった。原材料などのコスト増が響いた。国内で主力の緑茶飲料「お〜いお茶」が伸びなかったことや、米大リーグの大谷翔平選手起用による広告宣伝費の増加も重荷だった。
売上高は3%増の1250億円だった。健康志向から北米向けを中心に好調で、海外事業の売上高が150億円と11%増えた。北米でのティーバッグの販売は7割増えた。為替が1ドル=約157円と前年同期から約17円の円安にふれたことも押し上げた。東南アジア諸国連合（ASEAN）では「お〜いお茶」の飲料の販売数量が86%増えた。
営業利益は29%減の71億円だった。ペットボトル容器や段ボールなどの資材、コーヒー豆、野菜果汁といった原材料価格が上昇した。売上高営業利益率は5.7%と前年同期から2.5ポイント下がった。
国内向けを手掛ける伊藤園単独で、飲料の商品ミックスが悪化したことも響いた。販売数量はコーヒー飲料やミネラルウオーターが増えたが、値上げの影響で主力の茶系飲料が1%減った。全体では0.4%減だった。販売チャネル別では、構成比の46%を占めるスーパーマーケットの数量が6%減、自動販売機が10%減だった。
4月に米大リーグの大谷選手とグローバル契約を結んだ。屋外広告やキャンペーンなどの販促活動により、広告宣伝費は20%増えた。7月には「お〜いお茶」のパッケージに大谷選手を起用した。
タリーズコーヒー事業は堅調だった。23年12月からコーヒーなどの主要メニューを値上げした後も販売が伸びた。新規出店を進め、店舗数は796店舗まで増やした。
25年4月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比3%増の4666億円、純利益は10%増の172億円と最高益の更新を見込む。10月には緑茶飲料「お〜いお茶」など計207品目を値上げする。エネルギーコストや物流費などの上昇、包材や原料価格の高騰を価格に反映する。値上げの浸透でコスト増を吸収する見通し。
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