クラシエが「ねるねるねるね」などの知育菓子を学校教材として広める活動に力を入れている。夏休みに合わせ、同社が認定した「知育菓子先生」による出前授業を子どもや教員向けに開催。好評を受けて来年以降も続ける方針だ。教員に授業で採用してもらうことで「添加物が多そう」などの消費者の誤解をとき、イメージアップを図る。
知育菓子先生は同社が2023年に始めた取り組みだ。知育菓子を使った授業を展開する教員を認定する制度で、現在は幼稚園や高校などに勤める13人が認定されている。選ばれると授業用の知育菓子が無償で提供されるほか、教材の作成にも携わることができる。25年3月ごろから新規の募集も始める。
今夏から始めた「知育菓子先生授業キャラバン」では、東京・大阪・名古屋・静岡の4カ所を巡り、各地の知育菓子先生が授業を行った。参加対象は小学生以下の子どもで、料金は原則として1人1000円。1授業は40分ほどで、7月から8月にかけて6日間開催した。
ねるねるねるねは、2種類の粉を水に溶かして練り合わせると、色が変わったり膨らんだりするお菓子。キャラバンでは状態が変化するその様子にひっかけて、固体や液体、気体の仕組みを学ぶ。「おえかきグミランド」は絵の具のパレットを模した容器で3色の色水を混ぜ合わせることで、様々な色のグミをつくれる。キャラバンではそれを使って「色の三原色」を学んだり、絵を描いたりした。
クラシエはこれまでも全国の小学校で知育菓子を使った出前授業などに取り組んできたが、講師は同社の社員だった。今回のキャラバンは現役の教員である知育菓子先生に「授業」をしてもらった点が新しい。
幼稚園や保育園や小学校、特別支援学校など様々な教育機関の教員たちも招いた。授業でクラシエの知育菓子を使ったり、知育菓子先生に興味を持ったりしてもらうためだ。「参加した教員から『子どもが最後まで集中力を持って、これだけ意欲的にやってくれる授業はない』という声があった」とキャラバンを担当したマーケティング室菓子部係長の渋井弘美さんは話す。
初開催にもかかわらず、準備した子ども430人分の枠が完売。付き添った保護者や見学に来た7人の教員も含めると、約800人が参加した。「夏休みのタイミングで自由研究の題材を求めている保護者も多く、好評だった」(渋井さん)
クラシエは23年から、知育菓子と授業用のスライドや指導書などのセットも販売している。また、教員向けに知育菓子を使う意義などを説明するイベントを10月に開く。
こうした取り組みの背景には、知育菓子のイメージアップという狙いがある。紫キャベツなど天然由来の色素を使っているが、色の変化が鮮やかなため、消費者の間では「合成着色料が多く入っているのでは」「遊んだ後の片付けが面倒臭そう」といった懸念の声が根強いという。
クラシエの知育菓子の売上高は、23年12月期で前の期比8%増の65億円。同社によると、知育菓子などが含まれる「手作りお菓子市場」で、23年のシェアは68%に達している。授業を通じて教員や保護者に知育菓子としての意義や成分を伝え、販売に弾みをつける狙いがある。
(柴田唯矢)
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