百貨店の中三(青森県弘前市)は29日、事業を停止して自己破産の手続きを青森地方裁判所弘前支部に申請した。担当弁護士事務所によると負債総額は現時点で約9億円にのぼる。業績悪化が要因で、同日付で従業員85人を全員解雇した。人口減による売上高の減少や物価高騰に加え、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。
直近の3期の売上高は17~18億円で推移していた。2023年8月期の最終損益は中三青森店(青森市)の不動産売却益5億6000万円が計上され3億5000万円の黒字だったが、21年8月期や22年8月期はともに1億円を超える赤字だった。担当弁護士事務所は「百貨店事業の継承先を探したが見つからなかった。現在は再開発事業者を探索中で、すでに声をかけている」とした。
中三は1896年創業の呉服店を祖業とする老舗。東北を中心に郊外型の百貨店事業を展開し、1998年8月期には約415億円の売上高を誇った。東日本大震災の影響もあり、11年に民事再生法適用を申請した。ファンドによる支援を経て16年に飲食店やホテルを運営するMiK(青森市)の傘下に入り、事業再建に取り組んでいた。
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