東京電力ホールディングスは22日、柏崎刈羽原子力発電所1〜5号機(新潟県)の一部廃炉の判断を前倒しすると発表した。同6、7号機が再稼働してから5年以内としてきたが、2年以内にする。7基の原発を抱える自治体に配慮し、6、7号機の再稼働に理解を得る。
同日、小早川智明社長が柏崎市の桜井雅浩市長と面談し、廃炉を含む今後の方針を提出した。東電側は1〜5号機について、6、7号機の再稼働から2年以内に「廃炉を含む最適な電源構成の道筋をつけたい」と申し入れた。7号機の再稼働が見通せる状態になった段階で検討状況を再び説明することも約束した。
小早川社長は「電力需要が増加するなか、エネルギーを巡る不確実性は高まっている」として同市に6、7号機の再稼働を含めた協力を要請した。桜井市長は「柏崎刈羽原発は地元や日本などにとっても重要な電源」とした上で、「再稼働のめどが立った後に(説明をするよう)努力してほしい」とした。
東電は19年、6、7号機の再稼働から5年以内に1〜5号機のうち1基以上について「廃炉も想定したステップを踏む」と同市に回答した。ただテロ対策の不備など不祥事で7号機の再稼働は当初の想定より遅れている。柏崎市は東電側の不備で生じた遅れも反映し、検討時期を再稼働から2年以内とするよう東電側に求めていた。
柏崎市は6、7号機の再稼働を認める条件の1つに廃炉計画の明確化などを求めていた。桜井市長は「東電から再稼働の要請があれば、その要請に応えられる段階にいたった」として、2基の再稼働容認へ前向きな姿勢を示した。原発のもう1つの立地自治体である刈羽村も再稼働に賛同する姿勢を示している。
柏崎刈羽7号機は6月までに再稼働への準備を終えたが、新潟県から同意を得る道筋が立たず、稼働時期は見通せていない。県は防災面の不安などから慎重姿勢を崩さず、6月には東電や国に原発周辺30㌔圏外に避難する道路の整備などを求めた。
東電は廃炉について、今後の電力需要や新増設の動向も見極めて慎重に判断する方針だ。7号機の再稼働遅れもあり、地元では廃炉判断の実効性を疑問視する声も強い。小早川社長は「脱炭素電源の進捗度合いなどを見ながら、しっかり判断する」と話した。
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