東灘処理場から出るバイオメタンを使って化学品をつくる実証実験を始める(神戸市)

神戸大発スタートアップの光オンデマンドケミカル(神戸市)と神戸市などは、下水処理場で発生するバイオメタンを使って医薬品原料などの化学品を合成する実証実験を9月から始める。メタンなどに光を当てて化学品を生み出す同社の技術を生かす。将来的には処理場に化学品の小型プラントを置いて、商用生産することを目指す。

光オンデマンドケミカルは神戸大大学院理学研究科の津田明彦准教授が4月に設立した。メタンと塩素からなるクロロホルムに紫外光を当て、有用な化合物に変える技術を持つ。今回の神戸市との実証では、東灘処理場から出るメタンを含む消化ガスなどに可視光を当て、ポリウレタンやポリカーボネートなどの化学品の中間原料であるホスゲンを作り出す。

ホスゲン自体は極めて高い毒性がある。津田准教授らが開発した光の合成法では、ホスゲンの生成直後に別反応が起きて化学品となるため、安全に取り扱えるという。

光オンデマンドケミカルは化学品の共同生産に向け、化学メーカーへの技術指導を有償で始めている。同社最高経営責任者(CEO)を務める津田准教授は「今後は下水処理場から発生するバイオメタンを使って生産規模を拡大していく。神戸を光ものづくりの拠点にしたい」と話している。

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