2024年4〜6月期のCVCが参加した資金調達ラウンド(CVC出資ラウンド)の調達額は156億ドルと、前四半期の154億ドルからやや増えた。増加は2四半期連続となった。一方、調達件数は前四半期比12%減の782件と、18年1〜3月期以降で最も少なかった。
調達額増加のけん引役はAI企業の大型ラウンドだった。4〜6月期のCVC出資の大型ラウンド上位5社のうち、米スケールAI(Scale AI、調達額10億ドル)、仏ミストラルAI(Mistral AI、5億200万ドル)、コーヒア(Cohere、カナダ、4億5000万ドル)の3社がAIインフラ企業だった。
以下は24年4〜6月期のCVC投資の主な状況だ。
・世界の24年4〜6月期のCVC出資ラウンドの調達額は156億ドルに増えた。調達額の半分以上(84億ドル)を占めたのは、1回の調達額が1億ドル以上のメガラウンドだった。一方、世界の調達件数は前四半期比12%減の782件だった。アジアは24%減と落ち込みが目立った。
・24年のCVC出資ラウンドの平均調達額は2660万ドルで、23年通年の2090万ドルから27%増えた。平均調達額が増えた一因はメガラウンドだった。例えば、スケールAIは米半導体大手インテル、同アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、米シスコシステムズ、米業務ソフト大手サービスナウのCVCが参加したシリーズFで、米ウィズ(Wiz)は米セールスフォース・ベンチャーズが参加したシリーズEでそれぞれ10億ドルを調達した。
・デジタルヘルス企業のCVC出資ラウンドでの調達額は前四半期比57%減の6億ドルと、17年10〜12月期以降で最も少なかった。リテールテック企業も52%減、フィンテック企業も8%減だった。スタートアップ投資全体が低迷するなか、AIに特に力を入れているわけではない企業は資金調達で苦戦を強いられている。
・中国のCVC出資ラウンドでの調達額は前四半期比60%減の2億ドルだった。調達件数も24%減の59件と、15年以降で最も低い水準にとどまった。中国のテック市場はマクロ経済への懸念の高まり、地政学的な緊張の高まり、厳しい規制環境など大きな試練に直面している。
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