厚生労働省がまとめた医療機関の外国人患者受け入れに関する2023年度の実態調査によると、23年9月の1カ月間に外国人を受け入れた病院の18.3%で診療費の未払いがあった。22年度調査は19.9%だった。インバウンド(訪日外国人)が急増するなか、対応が急務になっている。

同省が全国の病院を対象にアンケート調査し、約6割の5184病院から回答を得た。23年9月に外国人患者を受け入れたのは2813病院で、全体の54%を占めた。このうち、外国人患者による未払いは516病院であった。

1施設あたりの月間の未払い発生件数の平均は3.9件で、最も多いところでは月40件に上った。1件あたりの未払い額の最高は1846万円で、22年度調査の最高額の522万円を上回った。

月間の未払い額の合計は平均で49万円。月に500万円を超えたのは10施設あった。1件あたりの未払い額は5万円以下が74%を占めた。100万円を超える未払いは42件発生し、22年度の12件から大幅に増えた。

外国人を受け入れた施設のうち、半分弱は受け入れ人数が10人以下だったが、1000人を超えたのは6施設あった。

調査では各病院の外国人患者の受け入れ体制についても聞いて、5673施設から回答を得た。23年9月1日時点で保険証を持たない訪日外国人の患者への未払い対策に取り組んでいる病院は14%だった。具体的な対策としてパスポートなど身分証の確認が最も多く、診療費に関する事前説明が続いた。

公的保険が適用されない外国人患者に対する診療費の設定についても聞いた。各施設で決めることができるが、有効な回答があった5424施設の約8割にあたる病院が保険診療を受ける患者と同じ費用を設定していた。保険診療の2倍超に設定していた医療機関も137施設(3%)あった。

外国人の診療では追加的費用として通訳料を患者に請求できる。請求していた病院は2%にとどまった。

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